大岡信の詩

静物

冬の静物は傾き まぶたを深くとざしている
ぼくは壁の前で今日も海をひろげるが
突堤から匍いあがる十八歳のずぶ濡れの思想を
静物の眼でみつめる成熟は まだ来ない