折々のうた

わが背子(せこ)

大和(やまと)()ると

()()けて

(あかとき)(つゆ)にわが立ち濡れし

大伯 皇女(おおくのひめみこ)

『万葉集』巻二。天武皇女で伊勢神宮に斎宮として仕えた。同母弟の偉丈夫大津皇子は父帝崩御の直後、反逆のかどで死刑となる。政敵のわなにおちたらしい。右は危険な立場の大津がひそかに伊勢の姉のもとを訪れ、暗いうちに再び去った時の、見送る姉の憂いと愛の歌。「わが背子」はここでは弟。「暁露」は未明の草露。姉弟の間柄だが、清らかな身の姉の歌にこもる情感は、恋人に対するようだ。