ところてん

煙の如く

沈み居り

日野草城

『花氷』(昭二)所収。京大在学中の大正十一年夏の作。草城の俳句の盟友鈴鹿野風呂はたずねてきた草城がまだところてんを知らないというので、家人に作られて味わい、互いにこれを題に作句したところ、草城がほんの十分ほどで二十句ばかり作ってみせたと驚嘆して書いている。中での絶品がこの句。草城初期の傑作である。「煙の如く」とはまさに言い得て妙。物を見て間髪入れず気体(煙)を思う連想の精度が抜群なのである。