あめつちに

ただ二人なる恋もせむ

ひがみて()ぢて

人に()ちめや

与謝野寛(よさのひろし)

『毒草』(明三七)所収。この天地に存在するのはわれら二人のみ、というほどの恋もしよう、世を怖れねじけて、はては人間世界に堕してしまっていいものか、と。恋の対象は妻晶子。『毒草』は二人の共著。いい気なもんだと冷笑されるのは百も承知の恋愛賛美の歌だった。現代の詩歌には絶えて見出せない熱弁だが、二人の恋が生み出したものの大きさを思えば、ただ冷笑してすまし得るものでもなかった。