み吉野は

山もかすみて白雪(しらゆき)

ふりにし里に春は来にけり

藤原 良経(ふじわらのよしつね)

『新古今集』巻一春上、巻頭歌。「春立つ心をよみ侍りける」とある立春の歌。新古今の晴れの巻頭歌に選ばれたのは、歌の流麗さと共に、新古今歌壇第一の庇護者だった良経への敬意も加わっていただろう。「ふりにし里」は「降る」に「古」をかけている。吉野にはかつて離宮もあり、人々には「ふるさと」の思いがあった。その吉野で、雪の降る冬も去り、春霞が立ちそめた喜びをたたえている。