石麿に

われ物申す

夏痩に

良しといふ物そ

(むなぎ)取り()

大伴 家持

『万葉集』巻十六。二首連作の一つ。注によると、あだ名を石麿という人がいた。人格者だったがひどくやせていて、いくら食べても飢えやつれてみえた。そこで家持が戯れにこの歌を作ってからかったのだと。『万葉集』の特に巻十六に収められている機智と諧謔の歌のうち、対人的な笑いの代表的なものとしてよく知られている歌である。土用の丑の日はウナギの受難の日だが、ウナギが夏やせに効くという考えは、じつに天平の昔からあったわけだ。