腰に下げたる巾著(きんちゃく)
これも憂き人の縫じやほどに

松の葉

江戸初期歌謡。「憂き人」は、こちらが恋い慕っているのに、つれなく当たる人。平安朝以来愛用された語で、芭蕉一門の連句『猿蓑』にも「うき人を枳殻垣よりくぐらせん 芭蕉」の有名な一句がある。「巾著」は巾着とも。金銭などを入れて歩くための布・革製の袋。いとしく、そしてつれない人の手製の巾着なのだよ、この私がこうして腰にさげているのは。言葉を中断して、そこに複雑な恋慕の思いをこめる。