とがもない

尺八を枕にかたりと

なげあてても

さびしや独り寝

閑吟集

思うように恋する相手に逢えずにいる悩みをもった男。尺八を吹いて気をまぎらせようとしても、かえってさびしさはつのるだけ。何の罪もない尺八を、腹だちまぎれに木枕にかたりと投げあててみたりもするが、鬱はいっこうに散じない。独り寝のさびしさをうたう和歌や歌謡は数多いが、この作は尺八や枕の音に現実味がある上、泣き笑いに似たおかしみも添うていて、印象的である。