天の河

霧立ち渡り

彦星の

楫の音聞ゆ

夜の更けゆけば

よみ人しらず

『万葉集』巻十秋の雑歌「七夕」。天帝の怒りにふれ、年に一度、七月七日の夜しか会えなくされた織女と牽牛をめぐる中国の伝説は、日本に伝えられると古代の知識層に大いに好まれ、『万葉集』以下歴代歌集に大量のタナバタの歌を留める。男が女のもとへ通う日本の古い婚姻形態からも親しめる話だったのか。陰暦七月七日は陽暦では八月半ば。初秋だから、七夕の歌には秋の季感が漂う。