飯蛸(いひだこ)

あはれやあれで

はてるげな

小西 来山(こにしらいざん)

『今宮草』所収。人に殺される蛸のあわれを詠んだ句では、芭蕉が明石で作った「蛸壺やはかなき夢を夏の月」が何といっても極めつきだろう。俳諧の生命である滑稽の要素を含みつつ、同時に生の哀感をみごとに表現している句である。しかし芭蕉とほぼ同時代の来山は、飯蛸が煮られているのを見て作ったと思われるこの句で、しみじみした哀感よりはむしろ、俳諧精神の土台である諧謔ぶりを示しているといえよう。口語調が生きている。