春泥(しゅんでい)

(はし)(きよ)めて

枝に鳥

石井 露月(いしいろげつ)

『露月句集』(昭六)所収。明治六年秋田県生まれ、昭和三年没の俳人。子規門の日本派俳句を秋田地方に広める一方、開業医として「医は仁術」の生き方を貫いた。自分の俳句は生涯かけてひたすら前進するもので、それを中途で示す必要はないという考えに立って、生前句集を編まなかったのだという。雪国のぬかるみに餌をあさる鳥が、木の枝でしきりにくちばしをぬぐって身づくろいしている。「浄めて」の一語、春光まで感じさせて大切な一語である。