山々の

一度に笑ふ

雪解(ゆきどけ)

そこは沓々(くつくつ)

ここは下駄々々(げたげた)

山東 京伝(さんとうきょうでん)

麻生・小池編『川柳・狂歌』(昭三三)所収。山野に春が戻るのを季語で「山笑ふ」という。雪解けの情景をそれに重ね、雪の上のクツやゲタの跡をも連想させながら、クツクツ、ゲタゲタと雪解けの山を笑わせた狂歌。多くの狂歌が古歌のもじりに小うるさく凝るのとは違い、伸びやかにおかしみを描いて気持のいい歌である。作者は風俗・遊里・伝奇と幅広く書いた江戸後期の大作家。一流浮世絵師でもあった。