うらやまし

思ひ切るとき

猫の恋

越智 越人(おちえつじん)

『猿蓑』所収。蕉門俳人。北越に生まれ、名古屋に住んだ。「猫の恋」は初春の季語。恋猫は夜も昼も鳴き廻り、哀切しかも喧騒を極めるが、やむ時はつき物が落ちたように静かになる。その思い切りのよさを、未練多い人間の恋に引き較べて「うらやまし」と言い切った。芭蕉に激賞された作。元来恋猫の歌や句は、恋する姿の哀切さを詠むのが普通だが、この句の着想はその点でも新鮮だった。