北はまだ

雪であらうぞ

春のかり

江左 尚白(えさしょうはく)

『蕉門名家句集』所収。近江の大津で医を営んだ芭蕉門の俳人。近江の蕉門俳人たちは、いろいろな場面で芭蕉にゆかりの深い面々だったが、許六・正秀・酒堂・乙州らはみな、尚白の手引きで蕉門に入った人々である。尚白は多芸多趣味の人だったが、温和な正格で流行に心をまどわす人ではなかったと諸書口を揃えていっている。これは春、北へ帰る雁に対し、もっとゆっくりしていけという句だが、なるほどおっとりした詠みぶりで、人柄がほうふつとする。