(うぐひす)

下駄(げた)の歯につく

小田(をだ)の土

野沢 凡兆(のざわぼんちょう)

『猿蓑』所収。芭蕉門の俳人。芭蕉俳諧の一頂点をなす撰集『猿蓑』の時期に大いに活躍。感覚の鋭さ、取材の清新さで抜きんでていた。「小田」の小は接頭語で、田のこと。早春のあぜ道を歩いてゆくと、霜が解けてゆるんだ泥が下駄の歯について難儀する。足をとられてつい舌打ちをするような時、ふいに春を告げるうぐいすの朗らかな声が響く。その一瞬の対照の妙に、俳諧の機微がひらめく。