(われ)なくば

わが世もあらじ

人もあらじまして

身を焼く(おもひ)もあらじ

柳原 白蓮(やなぎはらびやくれん)

『踏絵』(大四)所収。伯爵令嬢として生まれ、少女時代から佐佐木信綱に歌を学び、華族に嫁して離婚、大富豪と再婚するが恋人を得て婚家を去る。世の好奇の噂のまととなって実家に監禁され、のちついに恋人と同棲を果たす。明治十八年生まれの白蓮のこういう経歴は、自らの真情、女の自己解放と、社会の因襲とのあいだの闘争の連続だった。右はまだ若かりし日の歌だが、この「吾なくば」の思想は筋金入り。