()は寒み

夜床(よどこ)はうすし

故郷ふるさと

いもがはだへは

いまぞ恋しき

曾禰 好忠(そねのよしただ)

家集『曾禰好忠集』所収。平安中期歌人。彼の題材や詠法が当時の正統だった『古今集』の歌風に比して新奇なところが目立ったため、同時代には不遇だったが、後世評価が高まった。家集には不遇を嘆き焦慮する歌が多い。旅先で妻の肌を恋しいと歌う掲出作でもわかるように、恋歌に『古今集』以来の優美な情趣を盛るだけでは飽きたらず、生活のにおいをつよく歌にしみこませずにはいられなかった。そのあく(傍点)の強さを後世が評価した。