さんさ時雨(しぐれ)

萱野(かやの)の雨は

音もせで来て

降りかゝる

鄙廼 一曲

『鄙廼一曲』は江戸後期の大旅行家で民俗学者の菅江真澄の著。東日本各地の民謡を丹念に採集している。これは仙台辺で唄われていた祝言唄(しゅうげんうた)だという。「さんさ」は「さっさ」と同じく、時雨の降る音から来た音で、音が美しい。今では「さんさ時雨か萱野の雨か音もせできて濡れかかる」と唄われる事が多いようだが、それだと色事の「濡れ」と重なり、忍んで女に通う男の姿である。本歌もその色気は秘めているが、初冬の時雨そのものを唄って余情がある。