冬が来た。

白い樹樹の光を

体のうちに

蓄積しておいて、

夜ふかく眠る

前田 夕暮

『青樫は歌ふ』(昭一五)所収。明治四十年代、「明星」風の浪漫的歌風に対抗する自然主義短歌の新進として出発したが、元来感覚的に鋭敏な資質の持主だったので、地味な写実には安住できず、新風追求に熱心な試みを重ねた。右の作のような口語自由律短歌もその重要な一環だった。葉が落ちて明るくなった冬の木々に日光が白く輝く。その光を身うちにたたみこんで、夜の黒い胎内でぐっすり眠るのだ、という。