奥白根(おくしらね)

かの世の雪を

かゞやかす

前田 普羅

『定本普羅句集』(昭和四七)所収。大正期虚子門四天王の一人。友人飯田蛇笏とともに男性的な山岳詠に秀吟を多く残した。昭和十二年発表の「甲斐の山々」連作五句は特に有名で、右はその結びの一句。同時作の一つに「駒ヶ嶽凍てゝ巌(いわお)を落しけり」もある。雪におおわれた奥白根を遠望して、峻厳かつ浄らかな山の霊気をみごとに言いとめている。「かの世の雪」という表現が絶妙。