しやべり散らすな

愛を

おもひきり

胸には水をそそげ

逸見 猶吉(へんみゆうきち)

『逸見猶吉詩集』(昭二三)の詩「蠅の家族」冒頭二行。昭和十年創刊の雑誌「歴程」創刊メンバー。青年が社会に対して抱くけわしい孤立感を核として、自分自身をたえず酷寒の精神状態に追いつめつつ、贅肉を削りおとしたことばで詩を書こうとした。右の二行にもその意志は明らかに表現されているように思われる。昭和十二年渡満、会社勤めをしたが、敗戦の翌年、肺患と栄養失調のため長春で死んだ。