あまの原

ふりさけみれば

春日なる

三笠の山に

いでし月かも

阿倍 仲麻呂(あべのなかまろ)

『古今集』巻九覉旅(きりょ)。遣唐学生として十六歳で渡唐、玄宗皇帝に仕えて出世した。大詩人の李白や王維とも交遊。三十数年後、新たな遣唐使一行の帰国の折、共に帰朝することになり、海辺まで来た時この望郷の歌を詠んだとされている。東の空に月が輝く。あれは奈良の三笠山の上にのぼった月だ。その同じ月を、今私は去らんとする唐土で見あげている。ああ、大和よ。だが彼の船は難船、安南に漂着し、彼は再び唐に戻り、ついに日本には帰れなかった。