待つといふ

一つのことを教へられ

われ髪しろき(おい)に入るなり

片山 広子

『野に住みて』(昭二九)所収。昭和三十二年七十九歳で没した東京生まれの歌人・翻訳家。筆名松村みね子で知られる大正期アイルランド戯曲紹介の第一人者。佐佐木信綱門。歌は豊かな知性と情操で心の内面に分け入る作風。老境に入ろうとする女性の、単純だが深い人生経験の裏づけを示す歌である。芥川龍之介、堀辰雄師弟が、それぞれなみなみならぬ敬慕を抱き、彼女をモデルにした作品を書いているのはよく知られている。