やはらかに

()けゆくや勝角力(かちずまふ)

高井 几董(たかいきとう)

江戸中期の俳人。与謝蕪村の忠実な高弟で、寛政元年四十九歳で没した。温厚な人だったそうで、句風も平らかだが、さすがに師に学んで印象鮮明な句を作る。ひたと対象に寄りそって、その暖かみや厚みを句に程よくすくい取ってくる。この句、「やはらかに」が命。江戸時代の力士を描くが、今日でもこの気分はそのまま通じることがあろう。買ったときの力士は、なるほどやわらかに人を分けて消える。