秋山の黄葉(もみぢ)を茂み(まと)ひぬる

(いも)を求めむ

山道(やまぢ)知らずも

柿本人麻呂

『万葉集』巻二。人麻呂は大和の軽(かる)の地にひそかに妻を持っていた。今の橿原市内。だが妻が死ぬ。かれは悲しみにくれて、長歌とその反歌(かえしうたの意で、長歌の内容をもう一度要約する)たる短歌による挽歌を歌った。右はその短歌。「茂み」は茂っているので。歌はここで一たん切れる。「迷ひぬる」は山路に迷った。実際は死んでしまったこと。秋の山の黄葉があまりに深く茂っているので、迷いこんだ恋しい妻を探そうにも道が分らないのだ。