面白(おもしろ)の花の都や 筆で書くとも及ばじ

東には祇園(ぎをん)清水(きよみづ)

落ちくる滝の音羽(おとは)の嵐に

地主(ぢしゆ)の桜はちりぢり

西は法輪(ほふりん)嵯峨(さが)御寺(おんてら)

閑吟集

京の名所を連ねて讃える歌の一部分で、形としては「鉄道唱歌」などの前身といえる。放下僧という芸能者が歌って歩いた。「祇園」は八坂神社の旧名。「清水」寺の「水」の字から「落ちくる滝」が引き出され、滝の「音」から「音羽山」(東山三十六峰の一つで山腹に清水寺があり、音羽の滝がかかる。清水寺の山号でもある)が引き出される。「地主」は清水寺内の地主権現。地名列挙に終わらず、言葉で遊びながら展開してゆく所が肝心。