汽笛一声(きてきいつせい)新橋を

はや(わが)汽車は離れたり

愛宕(あたご)の山に()りのこる

月を旅路の友として

大和田 建樹(おおわだたてき)

『地理教育 鉄道唱歌』(明三三)所収。安政四年宇和島藩士の家に生まれ、明治四十三年没した国文学者/詩人。唱歌集の編や作詞で名声を博した。この有名な歌詞は『鉄道唱歌』(全五冊)「東海道」編(新橋に始まり神戸に至る六十六番)の冒頭一番である。明治初年代の詩歌史を考える上で、キリスト教賛美歌集や小学校・中学校の唱歌集を忘れることはできない。詞章のすぐれた唱歌や軍歌は、特に明治中葉時代、地歴教育・情操教育に大きな役目をはたした。