初風や

道の雀も群に入り

佐野 良太

『樫』(昭一七)所収。昭和二十九年六十三歳で没した新潟県生まれの俳人。臼田亜浪に師事。郷里の町役場ほかの役職を歴任したが、句の風趣は名利にてんたんたる性格をうかがわせる。「初風」は秋の初風で上代和歌以来重んじられた初秋の題材。路傍に遊ぶ一羽二羽の雀が、ふと気づくと(むら)雀の中に移っている。初風が吹くといっているが、雀のしぐさそのものが、いかにもそこに初風がたったようだと感じているのだ。姿勢のいい、さわやかな句である。