行水(ぎやうずい)

日まぜになりぬ

虫の声

小西 来山

『続今宮草』所収。今ではよほどの事情でもないと、裏庭で行水を楽しむ風景も見られなくなった。「行水」は日本から失われてしまった風俗の一つである。行水の句では上島鬼貫の「行水の捨所なき虫の声」がよく知られているが、鬼貫ほどの名手としては通俗的で、同時代の来山の右の句の方が味わいが深い。秋風が吹きはじめ、肌寒くなるにつれ、行水も一日おき、二日おきになるのだ、虫の音ばかりが繁くなって。