レポート

展覧会が始まって最初の日曜日。9月25日に、谷川俊太郎さんと大岡玲さんの対談イベントを開催しました。日本を代表する詩人と作家の熱い談義に、100人を超える参加者の方々は熱心に耳を傾けていました。

0925_photo← 笑顔のお二人

谷川さんの「詩」や「ことば」に対する想いを、大岡さんが引き出すといったスタイルで、テンポよく話が進みます。大岡さんはまず、谷川さんの「コップへの不可能な接近」という詩を挙げました。「存在とことばの間(はざま)をこれほどうまく書ける人はいない」と言う大岡さんに、ことばでは「結局、定義しきれない」と谷川さん。「ことばは信用していない」という谷川さんの、ことばへの考え方が解りやすく示されたように思います。信用していないから、試行していく、だから詩を書き続けられたという発言には、とても説得力がありました。

また、現在のことばの状況についても意見が交わされました。時代がことばの流れを作っていくなかで、現状は「ことばが希薄化している」状況。マスメディアに影響もあって、ことばは氾濫しているのに、画一化の方向に向かっているとのこと。谷川さんは、そうでないものを作っていきたいと話します。「今の流れに抗いたい」という強いことばが印象的でした。

とは言うものの、話の雰囲気は常に穏やか。谷川さんが大岡さんのことを「詩人(大岡信)から散文作家(大岡さん)が生れたのは面白い」と言えば、大岡さんは谷川さんのことを「谷川さんはゴジラ。破壊がなめらかだから」と言って笑いを誘います。楽しく、濃密な90分はあっという間に過ぎていきました。対談後は、谷川さんのサイン会を実施。自称、字は下手という谷川さんですが、味のある「俊」の文字に、温かさを感じた方も多いことと思います。

谷川さんは、今月29日には長男で音楽家の賢作さんとのライブで再登場!朗読とピアノの楽しいイベントになりそうです。どうぞお見逃しなく。

大岡玲(おおおか あきら)

1958年生まれ。
小説家、エッセイスト、東京経済大学教授。近著に『男の読書術』(岩波書店)がある。近況をfacebook「昼あんどんの急ぎ足」で発信中。