●連詩とは?
連詩は、何人かでリレーのように詩をつなげていきます。日本の伝統的な連歌から着想をえて、大岡信が詩人仲間とはじめました。翻訳者を介して、海外の詩人と一緒に作ることもあります。
連詩は、できあがった作品を鑑賞するよりも、実際に参加してはじめてその醍醐味を感じられるもの。他者と関わることで、自分ひとりでは産み出せない言葉が引き出されたりします。

●連詩に参加してみよう!
連詩のおもしろさは、参加してみなければわからない!大岡信ことば館にお越しいただいた記念に、ぜひご参加ください。
★進行状況は、このページにて随時公開します。


第6作目 (11月25日~制作中)


明日という光を見つめながら
自分の影の長さに
とまどい、震える。
色付いた木々の間から
斜陽の光を浴びる          彩子


斜視(すがめ)を通して見える
あれは、メビウスの環か
ゴルディアスの結び目か、
ななめに転がりゆく
わたしのこころ            名なみ


ころがるだけの心も
斜めに差す光も
持ち合わせていない
偏平な明日
糞のように生きよ           康一


日蓮と同じ日
君は生れ、(私の父も)
海も空も宇宙もすべて
ことばで手に入れた だから
終末は混沌              明

・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・

第5作目 (11月23日~11月25日制作)

誰?永遠の光


目覚めた。
雨の音が聞えた。
出かける頃合には、
薄日が差して来た。
誰れのためにか。           和琴


今日は学生時代の同窓会。
久々に会う同級生たち。
親友もいれば仲の良くない人もいた。
でも、薄日はきっと今なら誰とでも
仲良くなれる知らせの気がした    はやと丸


光の矢は
時を越えて地平線へ
つきささる
私の影はかけ足で
追いかけている             達子


ことばのかげ
足利の吉増剛造の
三島の大岡信の
声がことばになる
瞬間                   衣里


どんな力づくよりも
瞳に映った強烈な残像が
重く苦しかった 一歩を
押し出そうとしていた。
風の吹かない日に。          祐之


太陽はだれのために
その光を届けるか
だれのためでも 何のためでもない
ただそこにある確かな熱量
さあ 夜が やってくる         aya


だれのためでもなく
何の必要もないのに
木もれ陽の中に歩む
愛しさと哀しさと現実を
背負いながら           Yuwa


駿府公園内の児童会館 大岡博
三島大岡信ことば館 大岡信
思い出の中に たたずまう
流れよ とどめる
だれの だれもの心に       Emi

・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・

第4作目 (11月15日~11月23日)

流転


流れるということの
安易なやさしさにあらがい
とどまる碧色(みどりいろ)
映(は)える晩秋(ばんしゅう)の風    くらむぽん


すべてそれを通してしかさわれない
水・光・空気を
やさしくなっているのか 硬くなっているのか
それは社会か水か言葉か
はやいのか おそいのか         とおる


スコッチウイスキーは
冬紅葉のどれかの色をうつしたもの
天然自然がつくる色をのどに流して
私は地球という球体の一部となる
しばらくは 地球は枯れないだろう
急げメロスよ、走れメロスよ         ウエノイッコウ


メロスは走る
私も走る
冬紅葉の色に染まる
すべての生命は
どこへ行くのだろうか             ゆうみ


すべての生命はメロスのように
かれない地球に走っていく
美しい冬の自然の中を
生命とメロスはどこまでも
きっと走っていくだろう           なるみ


いのちはわたし わたしはいのち
それは全てのはじまり 全てのおわり
動いているのか、止まっているのか、
のぼったり、くだったり、何を急いでいるんだ
もっと のびやかに
わたしという生命よ             文


私は歩く。ゆっくり
目に見えるものを喜び
興味あるものを探し
自分を受け入れてくれる
場所に向かう                葦


さようなら
いってらっしゃい
こんにちは
おかえりなさい               あきこ

・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・

第3作目 (11月4日~11月14日制作)

宇宙からのおくりもの


波紋がゆらぎ
こうこうと音色が詩(うた)う
円がゆらめき 言葉が輝く
宙(そら)も水底も闇なれど
萩の花弁が静かに彩る    亜鈴火


雨がきらきらと落ちてきて
大きな水たまりをつくり
その宇宙を移しだした時
私は全ての言葉を
うしなってしまうだろう     恭子


秋の
まるで秋ではないような日差しの中
スーツを着たひとたちが前にすすむ
太陽にきらめく水のように
言葉は空に浮かんでいる    和泉


ごうごうと吹く風は、
浮かぶ言葉を
かきまぜ、掃き出し、
ビルの片隅に追いやってゆく。
誰かみつけるのだろうか。   ようこ


華やかな世界に憧れて
足を踏み入れたはじめの一歩
モノクロだったこの心に
彩というひとすじの光が
満ちてゆく           奈美江


もう終わりだ
心も身体(からだ)も 晴れた澄んだ想いも
黄色と茶色の道から
わずかな寂しさが すり抜けてくる
少し、泣いて、また行こう。   みつまめ


心動かす五人のうたげ
天井の高い白い箱へ
さよならをいふ          優子


この大空で天女は
楽しく舞い、みなびやかな
音楽を奏でている。
美しい言葉が生まれ出る    弘幸

 

・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・

第2作目 (10月7日~10月29日制作)

ゆめわたくし


霧のなかから
出現するのは

時計それとも
空の街か       髙好


少年はずっと夢見てゐた
自分の見たことのない世界を
そして今日も彼は
愛深き駿河の海に
抱かれて眠る            豆腐


夢見る少女は
あっという間(ま)に おばあさん
でも わかったことがある
夢のかたちは変わっても
夢みるわたしは
ここにいる                照


遠くにいきたい
そこは私の中にあり
きみの中にもある
遠い昔の記憶の中にも
まだ見ぬ風景         閑


そしてここにいる私
夢でも言葉でもなく
月の光のように音もなく訪れる
時より確かな感情
おまえの息をさがす私の指       水


この指は私の
またそのずっとずっと前から続ゐている歴史
まわりまわって今ここにある
見果てぬ夢をかたはらのおチビに託し
笑ってゐられる幸せ                春


水・しずく・
きらめく
空にはねかえる
星・流れ星
きらりと心にうつる     星


そしてまた ここにいる
波を漕いで
わたしは遠くから来た
霧のように
霧よりも深く          ゆずりはすみれ

 

・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・

第1作目 (9月16日~9月30日制作)

 まわりもの


おチビちびの無心なる
水遊び
彼と世界との
確かなつながり!       童


そして彼は知る
この世界に存在する
透明で冷たき熱量と
変はらぬものなど
ないということ       㐂ひろ


私は彼を抱きしめる
その距離は遠く
四十一回の秋の重なり
それよりも
もう数歩先          無学

四
ずっと遠くの世界にも
    数歩先のお星にも
きれいな川がながれるところに
    バイカモはかならず咲くよ     はち

五
振り返ると過去は遠く
変わらぬ湧水の柿田川
キラキラと輝く
幼き日のおチビの
思ひ出            惠

六
川へ帰る人、森へ帰る人
けれども
わたしたちを ゆるやかに
むすぶ
丘の草              慶

七
みなには帰る場所がある
おチビも彼も
名のない君のもとまでも
ただいま
おかえり             優

八
緑も青も
遠くも近くも
まじわるまじわる
疑ってペラ/\と
セピアの氷板       門

 


連詩制作のルール

連詩には、連句のような細かい決まり事はありません。大岡信さんは、その時その時の状況に応じて方法を設定して(詩の行数を決める、参加者の人数によって、いくつの詩をつなげるか、誰が何番目に詩をつなげるか等)制作していました。
今回のやり方は、来館者でつなげる連詩の試みとして、大岡信ことば館が考えた方法です。

・8人でひとつの作品を作ります。来館者一人ひとりが詩をつなげていき、8人目で完成。
・用意してある紙一枚に収まる範囲の詩を、お一人ひとつ書いてください。
・詩の最後に、お名前を入れてください。ペンネームでも可。
・1番目に書く人は、以下のテーマからひとつ選んで、最初の詩を書いてください。
テーマ:「秋」「水」「うたげ」
・2番目以降の人は、前の人が書いた内容から連想されたことをもとに、詩を書いてください。
・8番目にあたる人は、作品のしめくくりを担います。詩を書き終えたら、1~8の詩全てをふまえて、作品のタイトルもつけてください。

☆みなさまも大岡信ことば館にて連詩プロジェクトにご参加ください!☆

イベント詳細

名称 みんなでつなげる連詩プロジェクト
場所 大岡信ことば館1階展示室
日時 2017年9月16日(土)〜2017年11月26日(日)  10:00~17:00
対象

「大岡信 追悼特別展」へご入館のお客様