レポート

2017年9月16日(土)から11月26日(日)まで、「大岡信 追悼特別展」を開催しました。
大岡信が4月に亡くなってから企画した本展では、大岡信の生涯の仕事を年譜のように構成し、大岡信の文章で、積み上げた多くの仕事を読み理解してもらうよう展示しました。展示室の4隅には、大岡信が自身の詩を朗読した音声を聞くことができる装置を設置し、また青少年期の作品や仲間との同人誌、自筆原稿などを展示。大岡信と作品を身近に感じることができる展示を目指しました。
本展には、初めて大岡信作品に触れる方も、また長年のファンの方も多くお越しくださいました。大岡信ことば館での展示はこれで最後となりました。たくさんのお客様にご来館いただきまして、誠にありがとうございました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


展覧会ごあいさつ

今年4月、詩人・大岡信が86歳でその生涯を閉じました。大岡の代表作のひとつに「さわる」という詩があります。30歳にさしかかる頃に書かれたこの詩には、視覚、触覚を通して、世界と感応する詩人の生き方を見ることができます。観念を超えて対象に近づき、そこで知覚した不思議を言葉によってとらえようとした大岡の姿勢は一貫していて、それが詩となり、批評となって、いきいきと私たちに語りかけてくれます。

本展は、多岐にわたる大岡の仕事の中から主要な項目を抽出し、手書き原稿、写真、映像、音声など、貴重な関係資料とともに、その軌跡をたどれるように構成します。中心となるのは大岡信の言葉そのもの。大岡信の言葉の表層に触れ、その深層に息づく詩人の内面世界を旅していただきたいと思います。

みどころ

「大岡信さんを送る会」2017年6月28日明治大学アカデミーホールで開催のために制作・上映した、大岡信の軌跡をたどる映像作品や、貴重な生原稿・資料・写真などをご覧いただけます。また大岡信本人による詩の朗読音声などをお聞きいただけるほか、大岡信の詩作品を展示空間に造形的に配した大岡信ことば館ならではの展示もお楽しみいただけます。大岡信の言葉に対する深い思いに触れていただける展示となっております。

左:読売新聞記者時代 右:西ベルリン連詩制作

左:妻、大岡かね子と 右:一歳の頃

 

左:父、大岡博と 中:銕仙朗読会にて 右:「折々のうた」執筆中

 

左:詩考ノート/右:「折々のうた」生原稿

大岡信の軌跡を34項目でたどる

本展では、多岐にわたる大岡信の活動を34項目にまとめてご紹介しています。年代別にたどることはもちろん、興味のある項目から自由にご覧いただくこともできます。

詩のカードをおもちかえり

本展覧会で展示されている詩14篇をカードにして配布しています。お気に入りの詩をお持ち帰りください。

大岡信の肉声による朗読

大岡信自身が朗読した「調布V」「春のために」「虫の夢」「地名論」を展示室内で聴くことができます。

同人誌「VINGT ET・・・(ヴァンテ) 二十代」初公開

大岡信は東京大学在学中に仲間と同人誌「現代文学」を創刊しますが、その前身には回覧雑誌「VINGT ET・・・(ヴァンテ) 二十代」の存在がありました。本展では、これまで同人のひとりが大切に保管していた第五号を初公開。詩のほかに、大岡信が小説執筆に挑戦した作品「タウタウ・ハルム・タアノ」が掲載されています。

みんなでつなげる連詩プロジェクト

大岡信

[1931 - 2017 年]富士山からの湧水豊かな「水の都」三島市に生まれる。中学時代から詩作を始め、東大国文科在学中より詩や批評が注目を集める。読売新聞外報部に勤めた後、現代美術を牽引する南画廊を拠点に、国内外の様々な分野の作家と親交を深める。詩作と並行して、美術や古典文学の批評をはじめとする芸術論を活発に展開した。朝日新聞に29年間連載したコラム「折々のうた」では、古代の歌謡から現代詩まで、古今東西の詩歌を有名無名とわず取り上げ、その魅力を多くの読者に提示。連歌から着想を得た「連詩」を海外の詩人とも試み、日本の伝統的な文芸にみられる、他者に開かれた創作の場を現代に息吹かせた。