レポート

今年もあと半年あまりになった12月11日、谷川俊太郎さんと、映像作家で人工知能研究者の楠かつのりさんとの対談を開催しました。楠さんは、谷川俊太郎展で紹介している映像作品「ビデオサンプラー」を谷川さんとともに制作した共作者。展示への協力を依頼した際に、楠さんから「一緒にビデオ映像で遊んでいた頃のことを振り返ってみたい」という言葉をもらったことから、この企画は始まりました。来場者の皆さんとともに、当時の様子を聴けたことを本当に嬉しく思います。
話は、お二人の出会いからスタート。楠さんが、間違って谷川さんのイベントに参加したのが始まりとのこと(本当は吉本隆明さんのイベントに参加するつもりだった)。驚きの事実が発覚しました。
そして「ビデオサンプラー」制作の話へ。即興で制作したというこの映像作品。楠さんは、ビデオだったら即興ができるのではないかと考えてはいたものの、普通はあれだけものはできないと思っているそう。谷川さんは、即興だから、そして相手が楠さんだからできたと言い、結局はお二人の考えや相性がとてもマッチしていたことがよく分かりました。
さらに、話は「詩のボクシング」へ。「詩のボクシング」とは、2人の詩人が自作の詩と朗読で戦うというもので「声と言葉の格闘技」とも呼ばれています。1997年に楠さんが始められました。谷川さんはこの「詩のボクシング」で、ねじめ正一さんを倒してチャンピオンになった経歴があります。この時、谷川さんは綿密に準備していたといいます。もちろんアドリブもあるのですが、そのアドリブですら、頭のなかで用意していたのだそう。「ねじめさんは人が良くて、本当に考えていなかった」ということで、谷川さんが勝利したようです。
久々に会ったというお二人ですが、とてもリラックスした様子で、様々な裏話が飛び出したのも、こうしたお二人の関係があってのことではないかと思います。少し長めの質問タイムでも、多くの質問や感想が飛び出して、お二人のリラックスムードが来場者の皆さんにも伝わっていたようでした。
この対談で、「谷川俊太郎展」関連イベントは全て終了。谷川俊太郎さんには3回も登場いただき、たくさんの興味深い話を聴くことができました。多くの方々にもお越しいただきました。ありがとうございました。

楠かつのり(くすのき かつのり)

映像作家。ロボット&人工知能研究所所長。1980年代に家庭用ビデオカメラを使った映像表現(1984年にビデオテープの雑誌ビデオ「いまじん」[協力:谷川俊太郎])で注目を浴び、以降全天周魚眼レンズを使った独自の視点でのプラネタリウム上映用作品制作や3D(立体)映像作品、ドローンやウェアラブルカメラを多用した映像作品を制作している。現在、ロボット&人工知能研究所を立ち上げ、少子高齢化問題の解決にロボットと人工知能を実生活でどう用いるかについての講演などを行っている。