レポート

 大岡信は「詩といふものは/どんなものでもありうる、/けれどもそれは、/結局のところ何ものかへの/呼びかけでなければ、/詩である必要もない/のではなからうかと。」と書いています(『地上楽園の午後』あとがき)。そして一九九九年、大岡は、過去五十年間にわたる詩作品に一つの角度から筋道をつけてみようと思い立ち、詩集『捧げるうた50篇』を作ります。大岡は、「何ものか」に献じた詩によって、自身を感じ、鼓動してきたのです。今期は、大岡にとっての詩の存在理由を、他者に捧げた詩篇を通して考えます。また、「十篇の詩」では、フランスの詩人エリュアールのための「詩人の死」、版画作家駒井哲郎のための「調理室」、妻深瀬サキのための「丘のうなじ」などの詩を、空間の中に表現します。併せて大岡自身が手がけた自著の装禎、美術家加納光於氏に手ほどきを受けながら作った版画、また旅先でのスケッチなど、文芸作品以外の興味深い作品の数々もご覧いただきます。

<展覧会アルバム>